行動経済学には、人の意思決定や行動に影響を与えるさまざまな心理的な仕組みや現象があります。
これらはマーケティングや消費者行動の意思決定にも深く関わる概念です。
人の心理や意思決定に基づいていて、マーケティングと非常に相性が良いため、これらの心理効果を利用することで、顧客の購入意欲やあなたの商品選択を効果的に引き出すことができます。
行動経済学の用語は、消費者の無意識の選択や行動を促す心理的な要素が詰まっていて、マーケティング手法と密接に関わっています。
それぞれの効果を理解して活用することで、顧客体験や購買意欲をより強力に引き出せるので、ぜひ理解・活用していきましょう。
目次
行動経済学 用語解説
アンカリング効果
概要
最初に示された情報(アンカー)によって、その後の判断や評価が大きく左右される現象です。
人は最初の情報を基準にしやすく、その後の選択にも影響が残りやすい傾向があります。
具体例
商品Aと商品Bがあり、Aは1,000円、Bは2,500円とします。
Aを先に見て1,000円がアンカーになると、Bは「高い」と感じるかもしれません。
反対にBを先に見た場合は、Aが「安い」と思われ、Aを選びやすくなります。
マーケティングとの関連性
アンカリング効果は、商品価格や割引戦略において活用されます。
まず高い価格を提示し、その後に割引価格を見せることで「安くなった」と感じさせたり、「通常価格は〇〇円」と示した上で実際の販売価格を提示することで、お得感を演出します。
プロスペクト理論
概要
プロスペクト理論は、利益よりも損失の方が心理的に大きく感じられるという理論です。
人は「得をしたい」という欲求よりも「損をしたくない」という感情に強く影響されます。
具体例
「この商品を購入すれば1,000円得する!」よりも「この商品を買わないと1,000円損する。。。」という言い方の方が、購入意欲を引き出しやすくなります。
マーケティングとの関連性
人は損失を避けるための行動をしやすい性質があるため、マーケティングでも「限定品」「在庫残りわずか」といった表現を使い、「買わないと損をする」という心理を利用します。
また、期間限定セールなどもプロスペクト理論に基づく手法です。
フレーミング効果
概要
同じ内容でも情報の伝え方(フレーム)によって人々の受け取り方や判断が変わる現象です。
ポジティブまたはネガティブな表現を使うことで、相手の反応や行動が異なります。
具体例
「成功率90%の治療」と言うと前向きな印象を受けやすいですが「失敗率10%の治療」と言うと不安感が増します。
内容は同じでもフレーミング(伝え方)によって反応が変わる例です。
マーケティングとの関連性
広告やプロモーションでの表現を工夫することが、顧客の受け取り方を左右します。
「成功率90%」や「5人に1人が実感」といったポジティブなフレーム(伝え方)で商品やサービスを表現すると、顧客にポジティブな印象を持ってもらえる可能性が高まります。
ハロー効果
概要
ある特徴が人や物全体の評価に影響を与える現象です。
特に有名人や権威ある人が推奨するものを信頼してしまうことなどが当てはまります。
具体例
有名な俳優が出演する化粧品の広告を見ると、その俳優のイメージが製品にプラスに影響し「これを使えばあの俳優のように美しくなれるかも」と思いやすくなることがあります。
マーケティングとの関連性
有名人やインフルエンサーによる商品推薦はハロー効果を活用したマーケティング戦略です。
信頼できる人物が勧めることで、商品そのものへの評価も高まります。
有名人でなくとも口コミやレビューといった他者の評価も商品のイメージに影響を与えるため、高評価の口コミやレビューは販売活動に好影響をもたらす可能性があります。
確証バイアス
概要
自分の信じる情報を優先的に集め、反対の情報を軽視したり無視したりする傾向のことです。
反対の情報には注意を払わず、信じたいことだけを強化しようとする心理です。
具体例
あるサプリメントが「健康に良い」と思い込んでいると、その効果に関する情報ばかりを検索したり読むようになり、逆の意見には目を向けにくくなります。
マーケティングとの関連性
確証バイアスを活用し、広告や宣伝ではユーザーが「これは自分に合っている」と感じるような情報を提供します。
たとえば、健康食品の広告で「30代の女性が効果を実感!」といったターゲット層に向けた内容を含むことで、ユーザーがその情報を自分に引き寄せて解釈しやすくなります。
現状維持バイアス
概要
現状を変えたくないという心理です。
人は、たとえ不満があっても変化によるリスクを避けるため、今の状態に留まる傾向があります。
変化に対して消極的になり、現状を維持しようとする心理のこと。
新しい選択肢があっても「現状の方が安心」と考えやすくなります。
具体例
保険の契約更新の際に見直しを勧められても、現状のままで良いと思い、変更をためらってしまうことが、現状維持バイアスの例として挙げられます。
マーケティングとの関連性
顧客が今使用している商品やサービスを変えたがらない心理を利用し、定期購入や自動更新のシステムがこのバイアスに基づいて設計されています。
既存顧客が他社に移行しないように、ポイントプログラムやリピーター向けの割引も現状維持バイアスを利用した施策です。
サンクコスト効果
概要
「もったいない」という心理の働きです。
一度費やしたお金や時間などを惜しんで、本来は損失回避のために撤退すべき状況でも、そのまま続けてしまうことです。
すでに支払ったコストを惜しんで、損失が増えても続けてしまい「ここまで来たから」という心理が働き、本来やめるべきタイミングを逃しやすくなります。
具体例
映画館でチケットを購入して映画を見た時に、その映画がつまらないと感じても、途中で退席するより最後まで観たくなることがあります。
「せっかくお金を払ったのだから」という気持ちが強くあるためです。
マーケティングとの関連性
「ここまで試したから続けて購入したい」と思わせるようなサブスクリプションサービスや、一定のステージまで進むとさらに進める意欲が高まるようなゲームやアプリ内課金システムにも、この効果が活かされています。
ピーク・エンドの法則
概要
体験の中で最も強烈な瞬間(ピーク)と最後(エンド)が、全体の印象に大きな影響を与える法則です。
人はすべての瞬間よりも、強く印象に残った部分で体験全体を評価します。
具体例
旅行の最終日に素晴らしい夕日が見られると、旅行全体が良い思い出として残りやすくなります。
また、テーマパークで最後に楽しいアトラクションに乗ると、そのテーマパーク全体の印象も良くなりやすいです。
マーケティングとの関連性
商品の購入プロセスやイベントで、顧客が強い満足を感じる瞬間(ピーク)をつくり、最後(エンド)に満足度の高い体験を提供することで、顧客の体験全体の印象を良いものにすることができます。
イベントやキャンペーンの終了時に特別なオファーを提供するのも効果的です。
社会的証明
概要
人は他者の行動を基準に、自分の行動が正しいかどうかを判断しやすい傾向があります。
他の人がやっていることを正しいと感じて従ってしまう心理です。
レビューや口コミが行動の指針になりやすいのはこの影響です。
「多くの人が選んでいるなら間違いない」という意識が働きやすく、他者の行動が基準になります。
具体例
「1万人が使用中!」や「レビューで高評価!」といった表現は、社会的証明を利用して製品やサービスへの信頼感を高めます。
また、レストランが混んでいると「美味しそう」と感じて並んでしまうことも、社会的証明の一例です。
マーケティングとの関連性
「多くの人が選んでいる」「人気No.1」「〇〇件のレビュー」といったメッセージは、社会的証明を利用したものです。
新しい商品やサービスに対する不安を和らげ、多くの人が選んでいることを強調することで安心感を与えます。
また、顧客がSNSでシェア(口コミ)したくなるような仕組みを取り入れることも、社会的証明の効果を高める一例です。
バンドワゴン効果
概要
社会的証明と似た要素があり、特に「多数派の行動」に引き込まれる傾向です。
「みんながやっているから自分もやってみよう」と思う現象です。
人は孤立を避け、集団の一員でいたいと思うため、多くの人が選んでいるものが安全で信頼できると感じやすくなります。
購買や投資、流行のファッション、トレンド商品など、幅広い場面で見られる現象です。
他の人がしている行動や選択を、自分も同じように行いたいと感じる心理的な効果を指します。
具体例
「多数の人が選んでいる」「人気がある」といったメッセージを強調することで、消費者に安心感を与え、行動を促す効果が期待されます。
新しいアプリが流行り始めると「みんなが使っているから自分も使わなくちゃ」と感じるのもバンドワゴン効果の一例です。
マーケティングとの関連性
SNSで話題の商品(口コミ)や「売上No.1」などの表示による人気商品であるアピールを見ると「みんなが買っている=良いものかも」と感じて購入したくなることがあります。
まとめ:各用語を理解し、副業・ビジネスに活用しよう
行動経済学はマーケティング手法と密接な関係にあります。
各心理効果を利用することで、あなたの副業やビジネスに、顧客の購入意欲を引き出せる可能性が高まります。
それぞれの効果をぜひ理解・活用していきましょう!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!